解説

新しい介護のかたち。理想とジレンマ。動きはじめた若い人たち

2000年4月1日の介護保険制度開始以降、介護サービスの数は急激に増えました。しかしその一方で、介護を必要としながらも、制度の枠組から漏れてしまう人々も多くいる現状があります。そうした中、現在の画一的な介護サービスの在り方にジレンマを感じ、自ら理想とする介護を実現させようと施設・事業所を立ち上げた人たちがいます。

ドキュメンタリー映画『ただいま それぞれの居場所』では、設立から23年になる民間福祉施設と、新たに、若者によって設立された三つの施設を取材。人手不足や低賃金などの問題ばかりが取り上げられがちな介護の現場ですが、映画は、利用者やその家族と深くかかわることを望み、日夜奮闘する施設のスタッフたちの姿を映しだしていきます。そして、いくつもの人生の最後の季節、生と死のあわいに向き合い続ける日々が、スタッフそれぞれの哲学を育んでいきます。

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ようやく見つけた、それぞれの居場所 いっしょに見つめてみませんか?

仕事を引退した事を忘れて出かけてしまうおじいさん、夢と現実の区別がつかずにスタッフを叩くおばあさん。個性的で、ときに一筋縄ではいかない人たちが、ここでは「普通」に生活しています。「一律に決められた“やらされる介護”はしたくない、一人一人に相応しい介護を見つけていきたい」そう語ってくれたのは、ある施設の園長さんでした。制度とシステム、医療と介護、家族と社会。その挟間をさまよい続け、ようやく見つけたそれぞれの居場所。そこにはきっと、大切な誰かと、ともに生きるためのヒントがあるはずです。

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