登場施設 事業所

優人[京都府城陽市]

優人
2009年4月1日オープン。園長の大川卓也さん(28才)は、有障者施設で働きながら福祉大学を卒業。高齢者デイサービス施設に4年勤務後、妻の佳奈子さんとこの施設を立ち上げる。“年齢や障がいに関らず、みんなが通ったり泊ったり、ほっこりできる寄合い処”を目指す。その言葉の通り、民家をそのまま使った室内はアット・ホームだ。娘の優子ちゃん(2才)が利用者のお年寄りと遊ぶ光景は、ここが3世代同居の家庭のように見える。公的制度に縛られない介護をしたいと言う大川さん。それゆえ無認可の施設だ。介護保険を使わないため料金は割高。そのハンディを抱えながら大川さんは奮闘中だ。1万4千部のチラシを自らの手でポスティングして、利用者を募った。
「優人」ホームページ
大川卓也さん

大川卓也さん

1980年京都府生まれ。2003年、福祉とは無関係の大学を卒業。四回生の時、福祉の道に進むきっかけを、自身の母方のおじいちゃんがつくってくれました。03年4月から1年半、通信制の福祉大学に通いながら、障害者のデイサービスに勤務。社会福祉士を取得後、09年3月末迄、高齢者デイサービスの管理者として勤務。NPO法人優人を立ち上げ、独立開業し、09年4月より優人の代表として事業を行っています。
(自筆プロフィール)

元気な亀さん[埼玉県坂戸市]

元気な亀さん
創設は1986年。当時、園長の瀧本信吉さん(60才)は、不動産会社のサラリーマン。妻の静子さん(60才)は老人病院の看護士だった。関わっていたボランティア活動を通じ、行政の措置では社会的弱者と言われている人達およびその家族に明日はないと痛感し、自宅をデイ・ケアの拠点として開放した。1年後、現在の場所に移転。全国でも先駆的な試みだったが、福祉制度の枠からは大きく外れていた。ゆえにここには、行政からの金銭的援助は一切ない。「制度に合わせるのではなく、お年寄りや有障者に寄り添うのが本来の介護。それを貫こうと思えば無認可施設にならざるをえない」と、瀧本園長は語る。ここで働くスタッフの採用基準は資格の有無ではなく、人間性を重視している。若いスタッフだけでなく、創設当初からの女性スタッフ(72歳)も働き続けている。
「元気な亀さん」ホームページ
瀧本信吉さん

瀧本信吉さん

1948年大分県大分市生まれ。高校卒業後、自分探しの旅に上京する。幾多の職業に就くかたわら、夜間大学に入学する。86年(37歳)まで自分探しの旅は続き、夫婦で民間福祉を起業する。以後、当初理念の「今、困っている人」を「すぐ」に支援するために、介護保険制度にのらず、利用者の視点に立ったきめ細かいサ−ビスを提供し続けている。
(自筆プロフィール)

いしいさん家[千葉県千葉市]

いしいさん家
2006年創設。代表の石井英寿さん(34才)は、大学の福祉科卒業後、介護老人保健施設に8年間勤務。大規模施設の画一的な介護の在り方に疑問を抱き退職。同僚だった妻の香子さんと、ここを創設する。その際に石井さんの心意気を買い、香子さんの父母が資金を提供、その後もボランティアとして「いしいさん家」を手伝っている。また、石井さんの祖母も利用者として、洗濯物の片付けなどを手伝う。石井夫婦の2人の幼い娘も利用者のお年寄りと遊び、ここでは石井家4世代が影ながら貢献している。地域の人たちとの関係は濃厚で、利用者の家族から電話があれば、時間外でもスタッフが駆け付ける。障がいのある子ども・青年のケア、スタッフの起用もしている。若年性認知症の人たちのための「みもみのいしいさん家」も運営。石井さんの夢は、お年寄りと有障者、子どもが一緒に居られる居場所作りだ。
「いしいさん家」ホームページ
石井英寿さん

石井英寿さん

有限会社オールフォアワン 代表取締役。1975年生まれ。埼玉県川口市出身。淑徳大学卒業後、老健に8年間勤務。2005年に退職し、同年10月に有限会社オールフォアワンを設立。06年1月1日、千葉市花見川区の住宅街の民家で『宅老所 いしいさん家』を開所。同年5月からは居宅介護支援事業所も併設。08年2月に住んでいた自宅を開放して『みもみのいしいさん家』を開所。主に若年性認知症の方を対象とした『仕事』の取り組みをしている。
(自筆プロフィール)

井戸端げんき[千葉県木更津市]

井戸端げんき
2002年創設。理事長の伊藤英樹さん(37才)は大学の社会福祉学部を卒業後、有障者施設、老人介護施設に勤務。父親の介護をきっかけに、この施設を立ち上げる。施設長の加藤正裕さん(30才)をはじめとしてスタッフは若い。そのほとんどが、他の介護の現場や、別の職業を経験している。ゆえにか、マニュアルや常識にとらわれない柔軟な介護を実践している。また、利用者もお年寄りだけでなく、ふらりと近所の人が遊びに来たり、自称ボランティアの人がいたりと多彩だ。まさにご町内の“井戸端”。04年に宿泊施設「かっぱや」、翌年お年寄りと有障者のデイ・サービス「縁側よいしょ」をオープン、現在に至る。「お年寄り、有障者、若者・・・・それぞれの人たちの居場所になれば」と、伊藤さんは言う。
「井戸端げんき」ホームページ
伊藤英樹さん

伊藤英樹さん

1971年12月生まれ。横浜市出身。社会福祉士。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件が続いた95年春に学校を卒業。フリーター、ひきこもり、福祉施設職員等を繰り返しながら、日々を過ごす。生きていくことに、いよいよ行き詰った2002年11月、千葉県木更津市の寂れつつあった商店街の空家にて、宅老所「井戸端げんき」を開所。ようやく「生きること」に前向きになることが出来るようになる。
(自筆プロフィール)