誰も出会ったことのない映像──唯一無二のラップ・ワークショップとその記録
『プリズン・サークル』(19/文化庁映画賞大賞)など、米国や日本で刑務所や受刑者を長年取材し、処罰から回復への実践を追い続ける坂上香による最新作。ワークショップは坂上と、彼女が率いるNPO団体out of frameが企画し、ラッパー、ダンサー、詩人といった仲間たちと共に立ち上げたかつてないプロジェクトだ。日本初の試みであり、実施や撮影許可にはいくつもの障壁があった。それらをひとつずつクリアしながら、言葉にならない想いを叫ぶ人、その声を掬う人──塀の中と外で生きる人々の姿をつぶさに記録し、6年の歳月を経て誕生した。これは、制度と司法のその先に確かにある、回復と変容の最前線。願わずにはいられない「君の行く道に光がありますように」。
これは「遠い国」のできごとだろうか。いや、性差別を容認し、加担してきたこの世界の問題だ。同様の構造は、身近な社会にも、そして自分自身にも埋め込まれている。「女性たちはすでに声をあげている、家に縛られないように」と、ハワは言う。その声をかき消してきたのは誰か。
佐藤慧(メディアNPO Dialogue for People代表/フォトジャーナリスト)