すでに公開されていた森達也さんのコメントに加え、
◤コメント◢ 敬敬称略・順不同
観ているあいだ、自分は今、とんでもない作品を観ているとの意識が、ずっと身体の内奥で駆動し続けていた。ここ数年、いや間違いなくもっと長いスパンにおいて、これほどに完成度が高く、そして強く問題を提起するドキュメンタリーは他にない。
―――森達也(映画監督/作家)
傑作という表現を使ってよいのか躊躇した。この30年間の「正義」を根底から揺さぶられてしまうのが先だからだ。
でもやはり傑作としか言いようがない。
地元紙が自らを検証する姿に、最後の「エルピス」(希望)を見た思い。
―――プチ鹿島(時事芸人)
不完全さを抱えた人間という存在が人の罪を扱うという、非常に複雑で難しい問題であるというそのこと自体を映し出している映画だった。昔取材で刑事事件専門弁護士から聞いた「真実は人間の数だけある」という言葉を思い出す。自らの真実、自らの正義に寄りかかって進まざるを得なかった事件関係者たちの証言の先に見えるものを、私たちは目を凝らして見つめなければならないと思う。
―――佐野亜裕美(ドラマプロデューサー、「エルピス -希望、あるいは災い-」)
死刑囚の遺族、元捜査一課の刑事たち、弁護士たち、新聞記者たち。多岐に渡る登場人物。木寺演出はその表情を克明に切り取る。どの証言も正しいように思えてくる。飯塚事件という迷宮に迷い込んだ彼らの葛藤はきっと永遠に終わることはないのだろう。司法の女神は瞑った眼で今なお沈黙を守っているかのようである。
―――岩井俊二(映画監督)
歪み切った「正義」を振り回す警察捜査に、司法も科学もメディアも跪き、追随してしまった。結果として私たちは、取り返しのつかない過ちを犯してしまったのではないか———そんな鋭利な刃を、この国に生きる同時代の者たちすべてに突きつける秀逸で、しかし残酷なドキュメンタリーである。
―――青木理(ジャーナリスト)
怖い。
このやり方を怖いと思わなかった人たちがたくさんいたことが怖い。
―――武田砂鉄(ライター)
これは冤罪事件なのか? 真実はどこにあるのか? そんな目で見ているうちに、だんだん見方が変わって他人事ではいられなくなってくる。自分が捜査する立場だったら、報じる立場だったら、どうするだろう、と。立ち止まれるだろうか、向き合えるだろうか、と。
―――上西充子(法政大学教授)
飯塚事件に関わったメディア、警察、検察。それぞれの「正義」が暴走する様子を当事者たち自らが証言する衝撃のドキュメンタリー。
最前線にいた元警察官たちが語る捜査の実情や裏側はあまりにも生々しく、それをどう受け止めるのかが観る者に委ねられる。
無実を訴え続けた久間元死刑囚の死刑執行はなぜあんなに早かったのか。突きつけられる多くの示唆とさらなる疑問から目が離せない。
―――長野智子(キャスター・ジャーナリスト)
「死刑」は取り返しのつかない刑罰だ。決して誤りがあってはならない。
だが、人間はときどき間違える生き物であり、そして裁判官も人間である。
―――高橋ユキ(傍聴人、フリーライター、「つけびの村」著者)
題名は『真実の行方』ではなく『正義の行方』。
証明する手段のない事件を取り囲み、複数の関係者が持ち寄るそれぞれの真実。
二律背反する証言はやがて観る者を底の見えない螺旋へと飲み込んでいく。
問われるのは“何が真実か”ではなく、“何を信じ正義とみなすか”ということ。
私たちが思うより真実はずっと脆い。これは、もう一つの『落下の解剖学』。
―――ISO(ライター)
32年前、福岡でこの事件は起きた。
容疑者は逮捕され、16年前に死刑が執行された。
ところが、最近、目撃証言のひとつが訂正された。
そう、裁判はまだ生きているのだ。
担当刑事や弁護士、取材を続けた新聞記者たち。
彼らの話を聞いていると、心拍数が上がってくる。
あと、裁判官の話と死刑執行を決定した人の話が聞けたら、
この国はずいぶん良くなる。
―――久米宏(フリーアナウンサー)
登場するのは、現場の警察官、地元新聞記者、DNA鑑定研究者、弁護士たち。それぞれの現場で、それぞれの正義を真摯に追求する人たちだ。そこに覆いかぶさるのは、正義の行方を判断し、死刑という凶器をもった国家。今の日本の司法制度に、死刑宣告の権限を委ねることの無謀さと不条理を知るために、多くの人に見てもらいたい映画だ。
―――林香里(東京大学大学院情報学環教授(メディア・ジャーナリズム研究)、東京大学理事・副学長)
2024.03.13
奥間勝也監督 のドキュメンタリー映画『骨を掘る男』
6月より[東京]ポレポレ東中野、[沖縄]桜坂劇場ほかにて劇場公開が決定しました!
本作は、40年にわたり沖縄戦の戦没者の遺骨収集を続ける具志堅隆松さんを映したドキュメンタリー。
沖縄出身の監督の大叔母もまた、遺骨は見つかっていません。
具志堅さんと現場をともにしながら、出会ったことのない人をどう弔うのか、そして戦争の記憶と記録をどう次世代に引き継いでいくのか、観る者に問いかけます。
6月、ぜひ、劇場でご覧ください。
■特報予告編
VIDEO
■イントロダクション
40年以上にわたり沖縄戦の戦没者の遺骨を収集し続けてきた具志堅隆松。これまで400柱以上を探し出した。彼は自らをガマフヤー(洞窟を掘る人)と呼ぶ。砕けて散乱した小さな骨、茶碗のひとかけら、手榴弾の破片、火炎放射の跡…。捨い集めた断片から、兵隊か民間人か、どのような最期をとげたか推察し、想いを馳せ、弔う。掘ってみるまで、そこに本当に骨が埋まっているかどうかはわからないーーそれでも掘りつづける行為を彼は「行動的慰霊」と言う。
沖縄本島には激戦地だった南部を中心に、今も3000柱近くの遺骨が眠っているとされる。沖縄の人びとや旧日本軍兵士だけではない。米軍兵士、朝鮮半島や台湾出身者たちの骨を含んだ島の土砂が辺野古新基地のための埋め立て工事に使われようとしている。
監督の奥間勝也は、具志堅の遺骨収集に同行し、沖縄戦で亡くなった大叔母の生きた痕跡を探しながら、一方で繰り返しこう自問する。「出会ったことのない人の死を悼むことはできるのか?」その問いはやがて「平和の礎」に刻銘された24万の名を読み上げるいくつもの〈声〉と共鳴し、戦火と分断の時代を生きる私たちを震わせる。遠く離れた人の痛みとどうやってともにあるか。新進気鋭の映画作家が生まれ育った沖縄の歴史といまを見つめた次なる世代のドキュメンタリー。
撮影・編集・監督:奥間勝也
整音:川上拓也 カラリスト:田巻源太 音楽:吉濱翔
共同製作:ムーリンプロダクション、Dynamo Production
製作:カムトト 配給:東風
2024/日本/115分/DCP/ドキュメンタリー
https://closetothebone.jp
https://twitter.com/cttb_film
2023.12.11
▰▰東海テレビドキュメンタリー劇場 第15弾▰▰
『その鼓動に耳をあてよ』
断らない、ER🩺
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
監督 足立拓朗 ✖プロデューサー 阿武野勝彦・圡方宏史
🟡予告編解禁🟡
🎥YOUTUBE▽
VIDEO
🟡コメント到着🟡 *順不同・敬称略
これは東海テレビの新境地だ。まるで小宇宙のような救命救急センター内を、カメラが縦横無尽に動く。ここまで撮れるの? 透けて見えるコロナ禍の日本社会。ずっしりと重い。
——森達也(映画監督・作家)
誰の鼓動なのだろう。誰でもいい。鼓動を聴き取る静寂をつくるために、ナレーションが退いた。はだかの紆余曲折、はだかのドキュメンタリー。東海テレビドキュメンタリー劇場第十五作――ここまで来たんだね。
——重松清(作家) *パンフレット原稿より
「何でも診る」の“何でも”には社会的な問題までもが含まれているのか…と驚愕した。救命救急センターを通して、コロナ禍を含む近年の社会の縮図を一気に見ることのできる、心に残る作品です。
——井上咲楽(タレント)
海外ドラマの名作『ER緊急救命室』のような感じだろうと思って見たら、その期待は大いに裏切られた。救急で運ばれてくる個性豊かな患者たちを通して、現代日本の抱える社会的問題が浮き彫りになってくる。底の抜けかけた社会の底を、ERの医師たちが懸命に支えている。
——梶原阿貴(脚本家・俳優)
命は等しい。しかし現実は厳しい。満員の病床を背に、分刻みで選択を迫られるER。不景気、高齢化、パンデミック…すべてのしわ寄せが来る場所で、命と向き合う人たちが、どうか報われますように。
——小川紗良(文筆家・映像作家・俳優)
東海テレビの連続ドラマに出演の折、同社ドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』を観、心奪われた。
その後の『さよならテレビ』も同様に。「なにかおかしいんじゃないか?」…その眼差しは、そのままこちらに問い返されるかのようだった。
救命救急医療の現場を追ったこの作品もまた、コロナ禍以降、殊に浮き彫りになってきた現代社会の歪みをあらわにして、観るものに、あるべきそれぞれの姿を迫る。
なのに、まるで、昭和のヤクザ映画を観る高揚感にも似て涙がにじみもするのだ。
救急医療現場と報道現場は似ていると制作者たちは言う。
ならばこの映画は、魂の救済となるのかもしれない。
——佐野史郎(俳優)
🟦足立拓朗監督 メッセージ🟦
重傷患者を鮮やかに救う救急のドクター。ドラマの様なシーンが撮れると思っていざ取材に入ると、鼻の中のドングリを取ったり、酔っ払いの相手をしたり、治療費を払わない患者を説得したり…それでも、どんな患者にもプライドを持って向き合う彼らがいました。しかしその姿の多くは知られていません。新型コロナはこの国の医療の弱点を“丸はだか”にしました。作品を通じて、これからの医療に救急がどうあるべきなのか、考えるキッカケとなれば幸いです。
——足立拓朗(監督)
🟦圡方宏史プロデューサー メッセージ🟦
夜勤にプレッシャーにクレーム対応。
救急の現場はわたしたちの報道フロアと同じ匂いがする
でも彼らは辞めない。なんでだろう?
「断らない」というムチャなお題を掲げた病院の救命救急センターにカメラを入れてみたら、組織にとって大切なもの、世の中から必要な存在でいるために絶対に手放してはいけないものが見えました。
——圡方宏史(プロデューサー)
…………………………🩺💉
『その鼓動に耳をあてよ』
🎬2024年1月27日(土)よりポレポレ東中野、2月3日(土)より第七藝術劇場、2月予定 ナゴヤキネマ・ノイほか全国順次公開✨
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