映画『311』イントロダクション

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  東日本大震災発生から2週間後、一台の車が被災地へと向かっていた。

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東日本大震災発生から2週間後、一台の車が被災地へと向かっていた。作家で映画監督の森達也、映像ジャーナリストの綿井健陽、映画監督の松林要樹、映画プロデューサーの安岡卓治。
震災をその目で確認すること、それだけが共通の目的だった。ガイガーカウンターが激しく反応するなか、東京電力福島第一原子力発電所への接近を試み、津波の被害をうけた土地を訪ね、岩手、宮城を縦走。そして、津波に飲みこまれた石巻市立大川小学校へと向かう。依然行方不明のわが子を探す親たちの言葉が、メディアの姿勢をも問う。遺族を目の前にしながらビデオカメラを廻し続ける彼らにも厳しい批判が向けられる。

そして、4人の男たちは、被災地の圧倒的な惨状を映すカメラを、こともあろうに180度返してみせるのだ。
するとそこには、恐怖のなかで否が応でも高揚してしまう彼ら自身の姿が映し出される。それは、マスメディアが決して露わにすることのない、撮る側にいる者の素顔。2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されるやいなや、怒号と賞賛が乱れ飛び、劇場公開も危ぶまれた本作。その封印がついに解かれる。