あたらしい世界と出会う。世界をあたらしくまなざす。そんな旅の水先人は世界最高峰の人類学者たち。ハーバード大学感覚民族誌学ラボ(Sensory Ethnography Lab)は、そのフィールドワークからこれまでにない独創的な映画をつぎつぎと生みだしています。
それぞれの土地とそこに暮らす人々の歴史や物語をゆたかに織りこんだ彼らの作品は、名だたる国際映画祭で驚きと興奮をもって迎えられ、ニューヨークのMoMAやパリのポンピドゥー・センターでも上映されています。
ニューヨークの裏通りから北大西洋の大海原、険しい尾根をこえて雲の上の聖地へ――未だ知られざる珠玉の作品群が、わたしたちの暮らしや人生を豊かにするちょっとキケンな世界旅行へと誘います。
『モンタナ 最後のカウボーイ』
おびただしい羊の群れをひきつれたカウボーイたちが、放牧のためモンタナ州ベアトゥース山脈を縦走する。広大な緑の渓谷、雪に覆われた大地、忍びよるグリズリー。危険にみちた250キロの冒険。アメリカン・カウボーイの歴史の終焉にたちあった非感傷的なエレジー。製作者の強い希望で字幕を映画作家の想田和弘が監修した。
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『ニューヨーク ジャンクヤード』
NYメッツの新球場「シティ・フィールド」のまわりには、自動車部品のジャンクヤードがひろがっている。移民たちの陽気な歌声とバーベキューの煙。グレーな仕事で稼ぐカップル、友人たちに毎日小銭をせがんで生活する老女。再開発のため、やがて消えゆく街でたくましく生きる愛すべき人々に、豊かな暮らしのヒントを貰う。
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DVD】
『リヴァイアサン』
ニューベッドフォード――かつて世界の捕鯨の中心であり、メルヴィルの『白鯨』をインスパイアした港町を出航するトロール船アテーナ号。危険で過酷な漁は数週間にわたり、船は漆黒の海をゆく。観るもののド肝を抜く、圧倒的な映像と音響が描くのは、わたしたち人類の野蛮さそのもの。それはあまりにも美しい黙示録の体験である。
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『マナカマナ 雲上の巡礼』
ネパールのジャングルの奥深く、ヒマラヤを望むヒンドゥー教の聖地マナカマナ寺院は雲上にたたずむ。巡礼者たちは、かつて3時間かけた山道を今は片道10分のケーブルカーで登る。映画はその道のりをワンカットで切り取っていく。浮遊するカプセルのなかの人間模様と窓外にひろがる大自然とが奏でる壮麗なシンフォニー。
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