映画監督・是枝裕和 × 女優・綾瀬はるかによる新しい朗読劇
失われゆく戦争の記憶が語り継がれる。
監督:是枝裕和 出演:綾瀬はるか 取材:池上彰
原案:薄田純一郎 原構成:松山善三 撮影:山崎裕 美術:堀尾幸男 照明:中川隆一 録音:弦巻裕
演出補:可香谷慧 プロデューサー:橋本佳子 佐藤宏 制作統括:小出和昌
制作:ドキュメンタリージャパン
製作・配給:広島テレビ
配給協力・宣伝:東風+gnome
2016年|日本|85分
(C)広島テレビ
太平洋戦争末期、それまでたった一度しか空襲がなかった広島市には、東京や大阪から多くの子どもたちが疎開してきました。戦争も最終段階に入ったこの頃は、労働力不足を補うために、中学生も建物の解体作業や農作業などにかり出されました。学校で勉強できる日は少なく、夏休みもありませんでしたが、みんな日本の勝利を信じて一生懸命働きました。
昭和20年8月6日は、朝から暑い夏の日でした。この日、広島二中の一年生は、建物解体作業のため朝早くから本川の土手に集まっていました。端から、1、2、3、4、…と点呼を終えたその時でした。500メートル先の上空で爆発した原子爆弾が彼らの未来を一瞬にして奪ったのです。少年たちは、元気だった最後の瞬間、落ちてくる原子爆弾を見つめていました。
あの日、少年たちに何が起こったのでしょうか…。遺族の手記に残された死にゆく彼らの最期を伝えます。
昭和44年に広島テレビで放送された「碑」(いしぶみ)。名女優・杉村春子を語り部として制作されたこの作品は、多くの人々の心を震わせ、芸術祭優秀賞やギャラクシー賞などを受賞しました。そして戦後70周年を機に、この不朽の名作が現代によみがえります。
監督は、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ数々の賞に輝いた是枝裕和。語り部には、広島市出身の女優・綾瀬はるかが挑みます。『海街diary』に続き、是枝監督とタッグを組む彼女が、「遺族の手記」を切々と、静かに読み上げます。本作の舞台を務めたのは、劇団☆新感線や野田秀樹氏、三谷幸喜氏など、第一線で活躍する演出家の舞台美術を手がけている堀尾幸男。想像力を掻き立てる舞台セットが朗読を引き立てます。そして、ジャーナリストの池上彰が遺族やその関係者へのインタビューを通して、70年を経てなお残る「物語」の続きを伝えます。