戦後70年以上語られなかった陸軍中野学校の「秘密戦」、 明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない——。
英題:Boy Soldiers: The Secret War in Okinawa
監督:三上智恵、大矢英代
プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴
撮影:平田守 編集:鈴尾啓太 監督補:比嘉真人 音楽:勝井祐二
協力:琉球新報社、沖縄タイムス社
製作協力:沖縄記録映画製作を応援する会
製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵、大矢英代
配給:東風
2018|日本|114分 (C) 2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会
2018年 釜山国際映画祭 ワイドアングル部門 正式招待
2019年 山形国際ドキュメンタリー映画祭 日本プログラム部門 正式招待
2018年 第92回キネマ旬報ベスト・テン 文化映画 第1位
2018年 日本映画ペンクラブ賞 2018年文化映画部門 ベスト1
2018年 第42回山路ふみ子映画賞 文化賞
2018年 第24回平和・協同ジャーナリスト基金賞 奨励賞
2019年 第33回高崎映画祭 ホリゾント賞
2019年 文化庁映画賞文化記録映画部門 優秀賞
第二次世界大戦末期、米軍が上陸し、民間人を含む20万人余りが死亡した沖縄戦。第32軍・牛島満司令官が降伏する1945年6月23日までが「表の戦争」なら、北部ではゲリラ戦やスパイ戦など「裏の戦争」が続いた。作戦に動員され、故郷の山に籠って米兵たちを翻弄したのは、まだ10代半ばの少年たち。彼らを「護郷隊」として組織し、「秘密戦」のスキルを仕込んだのが日本軍の特務機関、あの「陸軍中野学校」出身のエリート青年将校たちだった。
1944年の晩夏、大本営が下した遊撃隊の編成命令を受け、42名の「陸軍中野学校」出身者が沖縄に渡った。ある者は偽名を使い、学校の教員として離島に配置された。身分を隠し、沖縄の各地に潜伏していた彼らの真の狙いとは。そして彼らがもたらした惨劇とは……。
長期かつ緻密な取材で本作を作り上げたのは、二人のジャーナリスト。映画『標的の村』『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』で現代の闘いを描き続ける三上智恵と、学生時代から八重山諸島の戦争被害の取材を続けてきた若き俊英、大矢英代。
少年ゲリラ兵、軍命による強制移住とマラリア地獄、やがて始まるスパイ虐殺……。戦後70年以上語られることのなかった「秘密戦」の数々が一本の線で繋がるとき、明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない。映画は、まさに今、南西諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、さらに日本軍の残滓を孕んだままの「自衛隊法」や「野外令」「特定秘密保護法」の危険性へと深く斬り込んでいく。