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息の跡

2017年2月18日(土)より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開
息の跡
陸前高田から届いた、忘れられない風景の記録
映像作家・小森はるか、待望の長編デビュー作
英題:trace of breath
監督・撮影・編集:小森はるか
編集:秦岳志 整音:川上拓也 特別協力:瀬尾夏美
プロデューサー:長倉徳生 秦岳志
助成:文化庁文化芸術振興費補助金
製作:カサマフィルム+小森はるか 配給:東風
2016年|日本|93分 (C)2016 KASAMA FILM+KOMORI HARUKA
岩手県陸前高田市。荒涼とした大地に、ぽつんとたたずむ一軒の種苗店「佐藤たね屋」。津波で自宅兼店舗を流された佐藤貞一さんは、その跡地に自力でプレハブを建て、営業を再開した。なにやらあやしげな手描きの看板に、瓦礫でつくった苗木のカート、山の落ち葉や鶏糞をまぜた苗床の土。水は、手掘りした井戸からポンプで汲みあげる。
いっぽうで佐藤さんは、みずからの体験を独習した英語で綴り、自費出版していた。タイトルは「The Seed of Hope in the Heart」。その一節を朗々と読みあげる佐藤さんの声は、まるで壮大なファンタジー映画の語り部のように響く。さらに中国語やスペイン語での執筆にも挑戦する姿は、ロビンソン・クルーソーのようにも、ドン・キホーテのようにもみえる。彼は、なぜ不自由な外国語で書き続けるのか? そこには何が書かれているのだろうか?

監督は、映像作家の小森はるか(『the place named』、『波のした、土のうえ』瀬尾夏美との共同制作)。震災のあと、画家で作家の瀬尾夏美とともに東京をはなれ、陸前高田でくらしはじめた彼女は、刻一刻とかわる町の風景と、そこで出会った人びとの営みを記録してきた。失ったものと残されたもの。かつてあったものと、これから消えてゆくもの。記憶と記録のあわい。そのかすかな痕跡とぬくもりを彼女はうつしだしていく。あの大きな出来事のあとで、映画に何ができたのか。そのひとつの答えがここにある。
  • おかえり ただいま
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