監督は『ただいま それぞれの居場所』『夜間もやってる保育園』など、現代社会のさまざまなケアの営みと制度のありようを見つめる大宮浩一。撮影を手がけるのは『桜の樹の下』の田中圭。そして、この映画を企画したのは、医療の最前線で看護師として働いていたゆずなさん自身です。ゆずなさんは「AYA世代」。AYAとはAdolescent(思春期) & Young Adult(若年成人)の頭文字で、おおむね15歳から39歳のがん患者のこと。その多くが就学や就職、出産や育児などに直面し、大きな困難を抱えているにもかかわらず、医療費制度と介護保険の谷間で、経済的な支えとなる助成制度がほとんどありません。根治が難しい病状を熟知しているゆずなさんが私たちに伝えようとしたいくつもの葛藤とたしかな幸福のかたちとは?
❖❖ 監督プロフィール ❖❖
監督:大宮浩一(おおみや・こういち)
1958年生まれ。映画監督、企画、プロデューサー。2010年、『ただいま それぞれの居場所』を企画・製作・監督。同作は介護保険制度導入から10年を経た介護福祉の実状と自らの理想とする介護を実現するため施設・事業所を立ち上げた若い介護スタッフたちの取り組みを描き、平成22年度文化庁映画賞〈文化記録映画大賞〉を受賞。同年、若い介護スタッフたちが主催したトークライブと彼らの日常を記録した『9月11日』を企画・製作・監督。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011〈ニュー・ドックス・ジャパン〉で上映される。11年、東日本大震災で津波の被害を受けた土地の風景とそこで出逢った人々の声を記録した『無常素描』を企画・製作・監督。震災後に制作されたドキュメンタリー映画としてもっとも早く同年6月に劇場公開。山形国際ドキュメンタリー映画祭2011〈ともにある Cinema with Us〉他、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど国内外で上映される。12年、介護やケアの現場で人生最期の瞬間に立ち会う介護スタッフたちの葛藤や家族の想いを見つめた『季節、めぐり それぞれの居場所』を企画・製作・監督。第36回山路ふみ子映画賞〈山路ふみ子福祉賞〉を受賞。13年、日本のフラメンコの先駆者であり世界的トップダンサーである長嶺ヤス子の現在を活写した『長嶺ヤス子 裸足のフラメンコ』を企画・製作・監督。14年、ベトナム戦争従軍取材などで知られる報道カメラマンの石川文洋の青年期と現在を描いた『石川文洋を旅する』を企画・製作・監督。SIGNIS JAPAN(カトリックメディア協議会)による〈シグニス平和賞〉を受賞。17年、知られざる夜間保育園の取り組みを描いた『夜間もやってる保育園』を製作・監督。19年、山形県唯一の有人離島である飛島の暮らしを描いた『島にて』を企画・製作・監督。