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2022.02.17

『スープとイデオロギー』2022年6月11日(土)より東京・大阪にて公開決定

\『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』『かぞくのくに』のヤン ヨンヒ監督の最新作/
『スープとイデオロギー』
2022年6月11日(土)より、[東京]ユーロスペース、ポレポレ東中野、[大阪]シネマート心斎橋、第七藝術劇場にて ほか全国順次公開決定!

「キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン1位」「ベルリン国際映画祭・国際アートシアター連盟賞」受賞の『かぞくのくに』から10年。昨年「DMZ国際ドキュメンタリー映画祭2021 グランプリ ホワイトグース賞」「ソウル独立映画祭2021 実行委員会 特別賞」を受賞した本作がついに日本公開!


*デザインは『人生フルーツ』や『戦場のメリークリスマス 4K修復版』などを手掛ける成瀬慧氏*

◢◤INTRODUCTION◢◤
年老いた母が、娘のヨンヒにはじめて打ち明けた壮絶な体験————
1948年、当時18歳の母は韓国現代史最大のタブーといわれる「済州(チェジュ)4・3事件」の渦中にいた。


朝鮮総連の熱心な活動家だった両親は、「帰国事業」で3人の兄たちを北朝鮮へ送った。父が他界したあとも、“地上の楽園”にいるはずの息子たちに借金をしてまで仕送りを続ける母を、ヨンヒは心の中で責めてきた。心の奥底にしまっていた記憶を語った母は、アルツハイマー病を患う。消えゆく記憶を掬いとろうと、ヨンヒは母を済州島に連れていくことを決意する。

監督は『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』など、朝鮮半島と日本の悲劇的な歴史のうねりを生きる在日コリアン家族の肖像を親密なタッチで写し続けてきたヤン ヨンヒ。なぜ父と母は、頑なに“北”を信じ続けてきたのか? ついに明かされる母の秘密。あたらしい家族の存在…。これまで多くの映画ファンを魅了してきた、あの〈家族の物語〉が、まったくあらたな様相をおびて浮かび上がる。ひとりの女性の生き様をとおして、国家の残酷さと同時に、運命に抗う愛の力を唯一無二の筆致で描きだす。







◢◤COMMENTS◢◤*敬称略
映画監督の是枝裕和氏、作家、エッセイストの平松洋子氏に加え、『チェイサー』での主演や『1987、ある闘いの真実』のパク所長役など、韓国映画界に欠かすことの出来ない俳優であり、ヤン ヨンヒ監督作品のファンだというキム・ユンソク氏からのコメントが到着!


『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』『かぞくのくに』――これら宝石のような映画たちを観ながら、私が最も驚かされ気になった人物はオモニ(母)だった。『スープとイデオロギー』は、まさにそのオモニについての物語だ。

―――キム・ユンソク(俳優、映画監督)


「私たち」のすぐ隣に住み、「私たち」とは違うものを信じて生きている「あの人たち」。彼らがなぜそのように生きているのか、なぜ「私たち」には理解できないものを信じようとしたのか。
監督でもある娘が撮影を通して母を理解していくように、この作品を観終わるとほんの少し「あの人たち」と「私たち」の間に引かれた線は、細く、薄くなる。

―――是枝裕和(映画監督)


『ディア・ピョンヤン』『かぞくのくに』、そして本作。ヤン監督による三作品を束ねる圧倒的な強度。
むきだしの母の生の姿を追い、やがて現れる家族の真実に心臓を射貫かれる。

―――平松洋子(作家、エッセイスト)


在日朝鮮人の家族史を通じて、韓国の現代史を掘り起こした作品。
一人の女性の人生を通じて、韓国史の忘れられた悲劇を復元した演出力が卓越している。

―――2021年韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭・審査評






◢◤監督の言葉◢◤
本作で私は、初めて家族と「南(韓国)」との関係を描いた。
『スープとイデオロギー』というタイトルには、思想や価値観が違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わず共に生きようという思いを込めた。1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい。私の作品が多くの人々にとってポジティブな触媒になることを願っている。
――ヤン ヨンヒ

PROFILE:監督・脚本・ナレーション:ヤン ヨンヒ
大阪出身のコリアン2世。米国NY ニュースクール大学大学院メディア・スタデ ィーズ修士号取得。高校教師、劇団活動、ラジオパーソナリティ等を経て、1995 年より国内及びアジア各国を取材し報道番組やTV ドキュメンタリーを制作。父親を主人公に自身の家族を描いたドキュメンタリー映画『ディア・ピョンヤン』(05)は、ベルリン国際映画祭・最優秀アジア映画賞(NETPAC 賞)、サンダンス映画祭・審査員特別賞ほか、各国の映画祭で多数受賞し、日本と韓国で劇場公開。自身の姪の成長を描いた『愛しきソナ』(09)は、ベルリン国際映画祭、HotDocs カナディアン国際ドキュメンタリー映画祭ほか多くの招待を受け、日本と韓国で劇場公開。脚本・監督を務めた初の劇映画『かぞくのくに』(2012)はベルリン国際映画祭・国際アートシアター連盟賞(CICAE 賞)ほか海外映画祭で多数受賞。さらに、ブルーリボン賞作品賞、キネマ旬報日本映画ベスト・テン1位、読売文学賞戯曲・シナリオ賞等、国内でも多くの賞に輝いた。著書にノンフィクション「兄 かぞくのくに」(12/小学館)、小説「朝鮮大学校物語」(18/KADOKAWA)ほか。

◢◤MESSAGE◢◤
「オモニ(母)のドキュメンタリー映画を撮ろうと思う」
 妻であるヤン ヨンヒ監督からそう告げられたのは、2016 年のことだ。『ディア・ピョンヤン』『愛しきソナ』に続く新たなドキュメンタリー映画を作ると言う。当然ながら、その挑戦に水を差すどころか「映画を早く観たい。がんばれがんばれ」と背中を押した。だが、続く言葉を聴いてイスから転げ落ちた。
「オモニとあなたを撮りたい。カメラを回してもいいかな。顔を映すのに差し支えがあるなら、首から下を映すとか、顔が映らないように工夫してカメラを回すから……」
 ドキュメンタリー映画の被写体になるという行為は、監督と共に海に身投げするようなものだと私は思う。中途半端な構えで『スープとイデオロギー』に参加すれば、荒海に揉まれて溺れ死ぬかもしれない。ヤン ヨンヒ監督と家族が生きてきた長大な時間と記憶の海に、思いきって飛びこんでみよう。カメラの前ですべてをさらそう。そう決めた。
――荒井カオル

PROFILE:エグゼクティブ・プロデューサー・出演:荒井カオル
長野県生まれ。日本国籍をもつ日本人男性。出版社勤務を経て、2005年にフリーライターとして独立。映画『スープとイデオロギー』の制作資金調達を務めつつ、被写体の一人として作品に参加する。


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