老いること、それは誰も避けることのできない人生の季節。
肩の荷を下ろすように、少しずつ過去のことを忘れていくのは自然なことです。
しかし、たとえば認知症。いまだに根本的な治療法はなく、突然のことに本人も家族も戸惑います。
私たちは、この難しい病とどうつき合っていけば良いのでしょう? どうしたら人生の最後の季節を自分らしく生きることが出来るのでしょうか?
平均年齢80歳以上のアメリカ・オハイオ州にある高齢者介護施設。ここに暮らす多くの方が認知症です。スタッフのジョンは施設で暮らすおじいちゃんおばあちゃんに毎日たずねます。 「僕の名前を知っていますか?」 でも、答えはいつも「いいえ」。何度名前を伝えても覚えていません。そんな彼女たちが挑戦したある取り組み(※)が、彼女たちの毎日を変えていきます。それはスタッフと一緒に、読み書きや簡単な計算などをすることで認知症の改善を目指すというもの。
エブリン(93歳)は認知症と診断されて2年。自分の名前も書けず、ジョンとの会話も噛み合いませんでした。しかし彼女にも大きな変化が表れます。
趣味の編み物を再びはじめ、笑顔でジョンに話しかけるようになりました。そして、かつてお得意だった辛辣なジョークまで復活したのです。
彼女たちは仲間と一緒に学ぶことで、大切なものを思い出していきます。そしてそのことは、ジョンやスタッフ、そして家族をも笑顔に変えました。この物語に登場する人たちの笑顔が、私たち誰もが抱える不安を希望に変えるヒントになるはずです。